8月のオンライン原書会(曹文軒)
今月のテーマは児童文学作家の曹文軒の作品ということで、私は 《海边的屋》を読みました。日本のアマゾンでkindle版を購入。
海边的屋 The Little House by the Sea
表題の短編小説《海边的屋》の他、《守夜》(邦題:よあけまで)、《太阳熄灭了》が収録されています。
中でも印象的だったのは《太阳熄灭了》です。
11歳の雅妮は両親と3人暮らし。幸せに暮らしていましたが、一家の太陽だったお母さんが亡くなったことで状況が一変します。お父さんがすっかり元気をなくしてしまったのです。
たった11歳で母を亡くした娘の世話をすることもなく、逆に自分の世話や家事もさせる父。
児童文学ということで、一時元気をなくした父も自分を取り戻し娘とともに再び幸せな家庭を築くというようなお話だろうと想像して読んでいたのですが、そんなに甘いお話ではありませんでした。父はお酒に溺れるようになり、ついに娘に暴力を振ってしまいます。現実にありそうなことでだんだん読むのが辛くなりました。
「大人は必ずしも非力な小さな子どもを守ってはくれない」という悲しい現実を子ども向けのお話で描いているのがすごいです。
お題の「日本の児童小説では見られない展開と感じた箇所」は情けない父親が描かれているところです。ずっと「おとんしっかりしろよ」とツッコミながら読みました。
日本の児童文学作家と聞いて思い浮かべたのは那須正幹氏です。ズッコケ三人組シリーズが小学生のころの愛読書でした。
ついでに思い出したのですが、私が初めて書店で購入した中国語の本は サン=テグジュペリ の『星の王子さま』の中国語版でした。中国語を本格的に勉強して3年目、旧HSK5級くらいのときです。内容を知らなかったのですが、 薄いし児童書なので読めるだろうと思ったのですが、私には難しかった…。結局その後だいぶん経ってから日本語訳書をチラチラ確認しながらなんとか読み終えました。それが若干のトラウマで、数年前まで私には原書なんて無理…と思ってました。今思えば本の選択ミスです。児童文学侮りがたし。